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一般社団法人大学監査協会 平成30年度事業計画

当協会の設立の趣旨に鑑み、教育研究の質を担保する「大学法人の経営の体質改善を通じた質の向上」に必要なガバナンスの強化ならびに大学運営の質の向上のためのガバナンス強化と意思決定プロセスの透明性の向上に資するべく、下記を基本方針として事業を計画する。

  1. 大学監査および関連する諸分野についての理論および実務の研究を推進することを図る。
  2. 監事と内部監査担当者の専門的能力の向上および監査の質と実効性の向上ならびに会計監査人との三者間の交流を促進するとともに三様監査の位置づけを明確にする。
  3. 大学監査実務の強化・充実のための大学監査に関する諸指針・マニュアル等の充実と知識・スキルズの普及を図る。
  4. 大学法人における監査の真の意味を探求し、大学監査哲学を構築する。

上記の基本方針を踏まえ、下記の4課題(中長期事業目標)に取り組む。その際、その社会的責任を果たすこと、および大学の価値向上のために大学監査が存在するという意義を自覚して、今までの研究の成果を更に発展させていくことが重要である。このため、当協会の運営も新しい段階へと進展させるべく、平成30年度の事業計画を推進することとする。

  1. 大学監査の意義とフィロソフィの明確化
  2. 大学監査の実態の把握とあるべき姿の追求
  3. 大学監査手法の確立と実務への導入推進への取り組み、実践化に向けての支援
  4. 大学監査の質向上と保証ロヂックの確立

Ⅰ.大学経営の質向上に寄与する監査体系の確立

大学監査の機能の充実およびその質の保証を通じて、大学法人経営の質の向上に結びつくよう、大学法人における監査システムおよびそのあり方等について監査体系構築を前提に、従来、当協会が策定してきた各種研究結果を体系的観点から見直す。このため、昨年度発足させた大学監査のあり方研究会、委員会制度の分科会制度への改編をさらに見直し、大学監査のあり方研究会を発展的に解消させるとともに、一昨年まで設置していた企画委員会の機能を統括・調整する組織として再発足させることとした。

1.大学監査の機能

1-1.大学経営監査機能

大学法人(国立大学法人、公立大学法人、学校法人等)は、設立の理念に基づいて設置され、その理念の具現化のため、 大学等を設置し、その運営を大学組織に委任する。委任した組織が設置者の意向を受けて運営することが求められるが、 設置者は、設置した大学に適切な支援を行うことも求められる。これら両面を含む監査機能が必要である。このために大 学法人に求められるガバナンス機能、内部統制機能のあり方、マネジメントシステム評価の視点ならびにコンサルティン グ視点等について各専門の分科会において検討していく必要がある。このため大学法人における監事監査・内部監査に関 する各ツール(基準、マニュアル、計画、調書、チェックリスト)の実用化を図る方策を検討する。このほか大学のアウ トカムズに大きくかかわる教学業務に関するマネジメントシステム監査についてその監査手法についての研究を推進す る。このため各分科会において調査研究を行う。

1-2.大学財務監査機能

監事監査、会計監査人による大学法人の財務諸表(計算書類)の信頼性に関する監査、内部監査に大別される大学監査 のうち会計監査の充実向上は、これからの大学の戦略的経営にとって信頼性監査を超えた手法が求められる。 これは大学法人の性格・種別に関わらず、そこで求められている会計基準をもとに、各大学法人がこれらを十分活用し ていくことが求められていることを意味する。そこで大学の健全な発展のために必要とされる財務監査機能のあるべき姿 について研究を推進する必要がある。

1-3.教学業務監査機能

多岐にわたる大学業務をサブマネジメントシステムの単位に分割して体系化するため検討を行い、その結果、各マネジメントシステム単位でシステムの評価=監査ができるよう、チェックリストの構築を含めて調査研究し、実用化を目指す。このため各分科会で調査研究を行う。

1-4.業務監査機能

大学法人における業務は、設置大学の教学業務が主たる事業のように見えるが、教学業務以外にも様々な業務が存在す る。これらの業務を有効性・効率性・経済性・業務システムと内部統制機能といった視点から評価していく必要がある。このための監査視点・監査手法等について調査研究を行い経営に資する監査手法の確立を目指す。

2.委員会・分科会

上記機能を発揮させ、大学監査体系としてとりまとめるため、以下の分科会・研究会を設置する。

2-1.企画委員会

(1)当協会の事業運営のあり方を協議し、その結果を理事会に提示する。
(2)各種委員会の検討内容の方向性について経営ガバナンスにそった調整を行うとともに、各研究会議および研究会に おける企画内容についても検討を行う。その際、大学にとって、各種の監査にかかわる基準が何を意味するのかを明 確にするとともに、研究成果の体系性を図る。また、大学監査が抱える課題に対応するため、必要に応じて加盟校の 実態を調査する。
(3)これまで本協会が数年にわたり策定してきた、監事監査基準、内部統制基準、内部監査基準、教学監査基準並びそ れら基準にかかわるマニュアル、チェックリスト等の見直し・作成を行う。
(4)上記の策定過程において、大学監査のフィロソフィの構築、大学監査の体系化の策定を行う。
(5)大学の価値向上・大学の体質改善のためのコンサルティングアプローチ手法等をも取り入れる研究を行う。
(6)次年度の事業計画案を策定する。
以上のことを推進するため、委員会を逐次開催する。

2-2ガバナンス分科会

(1)大学法人の経営、大学の運営を決定づける大学法人における経営ガバナンスのあり方について、検討するとともに、改正学校教育法ならびに社会環境等の変化を意識し、改めて大学運営に関するガバナンスについて検討する必要があること、また、本協会のこれまでの諸活動の基底に、それぞれのガバナンスのあり方・概念等の内容について包括的で明確な定義が必要なことから、改めて大学法人とその設置組織におけるガバナンスとは何か、すなわち大学法人の経営におけるガバナンスと設置した大学の運営にかかわるガバナンスのあるべき姿とはどのようなものであるかを、大学監査の立場から検討を加え、それらの定義を明確にすることとする。
(2)設立の理念に基づいて設立された大学法人が、その目的達成のため大学を設置し、その大学法人が自主性・自律性を持って大学経営をしていくことの意義と監査の関係、設置者が期待する組織運営と公共性・公益性の関係といった視点からガバナンスのあり方を追求する。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-3.監事監査分科会

(1)大学法人の健全な維持・発展のために監事の果たすべき役割について、監事監査・内部監査・会計監査人監査の連携を考慮に入れたうえで、その実効性を高めるため、監事監査基準、監事監査マニュアル、監事監査計画、監事監査調書、監事監査チェックリストの実用化を図る方策を研究する。
(2) 業績の信頼性の保証としての監査に関する基準の策定を行い、その上で監事監査について公益性を前提に進化させていく。その際、監事監査の品質管理基準の策定を試みる。
(3) ①意思決定、②理事者に対する適正な業績評価、③理事者による不適切な業務執行の予防法ないし早期是正、④適正な事業評価および⑤リスクマネジメント体制、内部統制の有効性の維持の5つ論点の検討を通して、監事監査の向上方策を研究する。
(4)教学業務の監査基準体系化のために、監事の視点からみた教学業務の監査視点について研究する。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-4.内部統制分科会

(1) 健全な内部統制システムの構築と維持は不作為の結果責任を問われるトップにとっては必置の仕組みであり、また、組織運営のマネジメントシステムの前提条件であって、大学法人のガバナンスを強化するために必要条件であることから、大学監査の立場から検討を加える。
(2)大学の持続的発展を可能とするガバナンスの向上のためには、各大学法人は、自らの法人の大学間および社会でのポジショニングを的確に把握した適切な経営意思決定が必要である。このため必要不可欠な機能がIR(Institutional Research)機能であるが、これらの体制を支えるためのマネジメントシステムには、信頼度の高い内部統制システムの構築が必要であることから、これらシステム構築に向けた研究を進める。
(3)大学法人における内部統制環境のあり方を研究する。
(4) 平成27年度に改正した大学法人における内部統制基準を踏まえて、内部統制チェックリストの改正を行う。
(5)リスクマネジメントと内部統制の有効性評価ツールの策定を行う。
(6)教学業務に求められる内部統制の仕組みと監査の視点について研究する。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-5.内部監査分科会

(1)監査は、マネジメントシステムの評価であることを周知するとともに、平成24年度に作成した大学法人における内部監査の定義、大学内部監査人に求められる資質、内部監査基準、内部監査実施の基本手順、内部監査実施のフローチャート、内部監査実施のチェックリストをもとに、経営リスク体系、リスクマップ、リスク発生可能性・影響度・測定表ならびに分野別内部監査留意事項等をさらに研究し、深化させるとともに、大学内部監査実施要領を作成し、それらの加盟大学への普及を図る。
(2)内部監査の有効性向上をめざし、大学の内部監査の枠組みの深化を通して、「大学内部監査能力養成プログラム」の実質化・進化を図る。
(3)大学内部監査担当者の技術向上を図るため、内部統制監査における業務分析手法・コンサルティングレビュー機能を獲得するための業務分析・ゼロベース思考に代表される思考法についてのスキルについて事案研究を通して磨くためのプログラムを開発し、その実務への普及を図る。
(4)内部監査人の適格性の評価ツールの策定を行う。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-6.会計・財務分科会

平成27年度に策定した、大学監査としての業績監査に関する報告書をベースに以下の研究を行う。

(1)会計監査を中心に、大学法人における財務報告の信頼性・経営の透明性の向上ならびに経営体質の向上にかかわる会計・財務に関する事項について研究する。
(2)大学法人における会計の今後のあるべき方向性とそれにまつわる諸問題について、管理会計の視点を含めて研究する。その際、大学会計を有効に機能させるための管理会計システム構築に向けての研究を行う。
(3)教学業務と会計・財務の関係等、監査視点構築のための研究を行う。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-7.教学業務監査分科会

(1)平成27年度に作成した、教学業務体系を更にブラッシュアップし、サブマネジメントシステムとしての体系化・構造化を進める研究を行う。
(2)上記構造化された教学業務マネジメントシステムを評価するための監査視点の研究に取り組み、昨年度、完成させ た教学チェックリストをさらに深化させる。
(3)従来、実施してきた質保証に関する監査については、教学業務の中の質保証マネジメントシステムとしてとらえ、 その評価基準等の確立と普及に努める。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

Ⅱ.研修機能の充実と研究会議の開催

監事、内部監査担当者および会計監査人による三様監査の実効性の向上および監査実務の普及と向上を目的として監事会議をはじめとする以下の諸会議等の活動を企画・立案し、実施するとともに、三様監査に直接関連ある重要な法令ならびにその改正状況、行政からの通知、社会の動き等について解説の機会を設ける。 また、分科会等でまとめられた研究成果を公表し、会員等から広くコメントを求める場としても活用する。

1.大学監査研究会議

大学監査機能の中心となるのは、経営部門の意思決定プロセスから学務を含む大学法人業務全般を監査対象とする監事監査機能である。監事はその課せられた責任を十分に果たすことが求められる。本会議は、監事を対象に、大学の置かれた現状の把握、監査の質の向上をめざし、その上で監事としての職責を果たし、監査の方法論ならびに実務上の隘路・問題点等、監査業務に関する必要な知識の修得、会計監査人と監事との連携、多様な監査体験の共有、あわせて監事相互の情報・意見の交流を目的として開催する。 以上のことを推進するため、少なくとも年間3回(6月上旬、8月上旬、11月下旬他)の会議を開催する。

2.ガバナンス研究会議

大学監査が有効に機能するためには、その前提として大学法人経営のあり方(ガバナンスのあり方、マネジメントシステムの構築その他)が問われる。本会議は、大学法人の経営を担う責任者を対象に、大学の経営体質の改善を目的として、大学法人の監査機能を十全に果たすための人と組織等のあり方を大学経営ガバナンス・大学運営ガバナンスの視点から討議し、ユニバーシティ・ガバナンスの強化に資することを目的として開催する。
以上のことを推進するため、年間3回(3月下旬、7月上旬、10月上旬)の会議を開催する。

3.教学業務監査研究会議

本協会では、大学監査フィロソフィを構築することにより、大学の新しい経営に資する監査の役割について、協会内での大学監査の考え方の共有を進めている。本研究会議では、上記研究会の成果に基づき、教学監査の意味と目的を検討し、従来策定した教学監査基準をさらに発展・深化させるため研究会議を開催する。 以上のことを推進するため、年間3回(6月上旬、8月上旬、11月下旬)の会議を開催する。

4.内部監査研究会議

本会議は、内部監査担当者ならびに監事スタッフを対象に、①内部監査担当者に求められる資質の醸成、②内部監査の理論および手法の体系的教育、③内部監査実務への展開方法、④内部統制監査技法である業務分析手法の教育、⑤監査結果から導き出す課題ならびに課題解決手法であるゼロベース思考等のロジカルシンキング等の思考法に関する教育、⑥内部監査の実務上の隘路・問題点等の発見と解決、⑦内部監査人として知っておくべき重要課題の把握などについて知識・スキルの高度化を目的に開催する。併せて、本協会が作成した内部監査基準、チェックリスト等大学の内部監査の枠組みの普及を目指し、個々の内部監査担当者等の知識・スキルの底上げも図る。 以上のことを推進するため、年間6回(3月下旬、5月下旬、7月上旬、9月上旬、11月中旬、12月上旬)の会議を開催する。

5.会計監査課題研究会議

大学が抱える現代的課題を高次元で解決しながら大学価値を向上させていくためには、ガバナンスの効いた経営・財政改革が極めて重要になってくる。そのためには、現行の大学法人にかかわる会計基準を徹底的に活用するばかりではなく、これらを越える組織を評価する厳しい視点、すなわち会計情報を冷徹に評価し問題点を発見する力、その対策を徹底的に考え抜く力、改革をやり抜く力となるリーダーシップ力を養成することが重要となってくる。これらの技法は、監事、財務・企画担当の理事、内部監査担当者、財務担当者、経営企画担当者等の誰もが獲得すべきスキルとして位置づけ、その力量向上を目指す。このほか改正学校法人会計基準の方向性の理解とそれを越える実効性ある財務諸表分析の方向性の示唆、会計基準設定プロセスへの監事の関与および財務情報と非財務情報の統合などの視点についても併せて学ぶことを通して、大学のガバナンスの強化とサスティナビリティに資することを目的とする。 以上のことを推進するため、年間4回(6月上旬、7月中旬、9月中旬、11月上旬)の会議を開催する。

6.監査課題研究会議

本会議は三様監査を進める上での問題点・課題について研究し、討議する。その際、当協会に設置している大学監査に関する分科会等で検討し、大学監査を取り巻く諸問題等を活用し、問題提起を行う。 以上のことを推進するため、年間6回(3月中旬、6月上旬、7月中旬、9月中旬、11月上旬、12月中旬)の会議を開催する。

7.業務監査研究会議

監査は、マネジメントシステムの評価であるが、その対象は、大学法人のすべての業務が対象となる。従って監査対象 は、会計業務を含むすべての業務が監査対象となる。このうち教学業務を除くすべての業務に関する監査について、監事 ならびに内部監査人が知っておくべき監査手法・業務分析手法等の知識・スキル・思考法の普及を図る。 以上のことを推進するため、年間6回(3月中旬、6月上旬、7月中旬、9月中旬、11月上旬、12月中旬)の会議 を開催する。

8.大学内部監査人向け能力養成プログラム

内部監査人に求められる基礎的監査知識とスキルズを基礎から学び身に着けるための基礎コースの充実を図るとともに、大学のリスク対応能力を向上させ、より健全な大学の実現に向けてマネジメントシステムの評価を核とし、質的に「コンサルティングレビュー」機能を有する内部監査を進めるための役割を果たせる人材の育成をめざし、内部監査・専門知識と監査遂行のための方法論の修得を踏まえた、一定のカリキュラム体系に基づくプログラムを組む。 以上のことを推進するため、年間2回(3月に2日間、9月に2日間を別々に)のプログラムを開催する。

以上

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