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一般社団法人 大学監査協会 2020年度事業計画

当協会の設立趣旨に鑑み、大学の教育研究の質を担保する「大学法人の経営の体質改善を通じた質の向上」及び「大学運営の質の向上」に必要なガバナンス強化と意思決定プロセスの透明性の向上に資するべく、
下記を基本方針として事業を計画する。
  1. 「大学監査は大学法人の価値向上のために存在する」という基本理念のもと、大学法人という組織の特性を踏まえ、価値向上のために大学法人に真に寄与する監査とはどのようなものであるかを常に探求するとともに、新しい大学監査の基本的考え方についての啓蒙活動を行う。
  2. 大学監査及び関連諸分野についての理論及び実務への展開方法に関する研究を一層深め、推進する。
  3. 3監事・内部監査人の専門的能力の向上及び監査の質と実効性の向上、並びに会計監査人との三者間の情報共有化等の交流促進を図るため三様監査の位置づけを明確にする。
  4. 大学監査実務の強化・充実のための大学監査に関する諸指針・マニュアル等の充実と知識・スキルズの普及を図る。

上記の基本方針を踏まえ、下記の2課題(中長期事業目標)に取り組む。その際、その社会的責任を果たすこと、及び大学の価値向上のために大学監査が存在するという意義を自覚するとともに、大学監査は、大学法人という組織の特性を踏まえ、従来の監査概念にとらわれない考え方を加味し、今までの研究の成果をさらに発展させていくことが重要である。当協会の運営は、昨年度から新しい段階へと進展させつつあるが、この方針をさらに深化させるべく、2020年度の事業計画を推進することとする。

Ⅰ.大学経営の質向上に寄与する監査概念・監査体系と監査手法の確立と啓蒙普及

Ⅱ.大学監査手法の実務への適用と研修機能の充実

Ⅰ.大学経営の質向上に寄与する監査概念・監査体系と監査手法の確立と啓蒙普及

大学法人の経営の高度化を通じた大学法人の価値向上のため、大学監査の機能を1.大学経営監査、2.大学財務監査、3.教学監査、4.業務監査の四機能に分類し、これらの概念及び手法の確立を継続して行う。特に、大学法人における監査システム及びそのあり方等について、従来の監査概念に取らわれずに、監査体系を構築するとともに、従来、当協会が策定してきた各種研究結果を体系的観点から見直す。このため、統括・調整する組織として2018年度から2年計画で再発足させた企画委員会を中心に、大学監査の現状を把握するとともに、大学監査の概念・哲学並びに監査手法等の大学監査体系の確立のための7つの分科会を設置して運営を行ってきたが、情報の効率性・有効性の視点から見直しを行い、5分科会に集約し、概ね2年計画で活動を行う。

1.大学監査の機能

1-1大学経営監査機能

(1)大学法人に求められるガバナンス機能・内部統制機能のあり方、マネジメントシステム評価視点並びにコンサルティング視点について、リスク認識とコントロール等をベースに各専門の分科会において検討していく必要がある。このため大学法人における監事監査・内部監査に関するツール(基準、マニュアル、計画、調書、チェックリスト)の開発・改良と実用化を図る方策を研究する。

(2)ガバナンス機能は、本来、設置者である経営者や組織の責任者が具備しなければならない資質を含むものである。一方で、監査機能は、経営者の特性を把握し、その特性を補完・育成する仕組みを組織の中に構築できているかを確認する機能をも含むものである。これらの要素を明らかにするための研究を行う。

(3)法令改正、大学ガバナンスコード制定等、大学法人を取り巻く環境変化への対応は、大学法人にとって喫緊の課題である。これらの諸点に関する経営者の認識について経営者・大学運営者への意識付け等が求められることから、大学法人の運営の質向上の観点からその対応に関するありようについて研究する。

1-2大学財務監査機能

監事による財産の状況監査、及び計算書類の作成プロセスに関する理事の業務執行に関する監査、会計監査人による大学法人の財務諸表(計算書類)の信頼性に関する監査、内部監査に大別される大学監査のうち財産監査の充実向上は、これからの大学に求められる戦略的経営にとって、信頼性監査を超えた手法が必要とされることでもある。
これは大学法人の性格・種別にかかわらず、そこで求められている会計基準をもとに、リスクをコントロールしながら各大学法人がこれらを十分活用していくことが求められていることを意味する。そこで、大学の健全な発展のために必要とされる財務監査機能のあるべき姿について研究を推進する必要がある。

1-3教学監査機能

教学監査は、教学業務監査と内部質保証マネジメントシステムに関する監査に分かれる。これらの監査対象は、いずれも教育研究を取り巻く業務マネジメントシステムである。このうち教学業務監査に関しては、多岐にわたる大学法人の業務のうち、その主たる業務である教学業務をサブマネジメントシステムの単位に分割して体系化を行い、各マネジメントシステム単位でシステムの評価=監査ができるようにする必要がある。また、内部質保証マネジメントシステムに関する監査については、大学法人組織全体のシステムとしてとらえ、マネジメントシステムとして評価する必要がある。また、自己点検評価・第三者評価に関する対応状況についても教学監査の一環としてとらえる必要がある。

1-4業務監査機能

大学法人における業務は、設置大学の教学業務が主たる事業のように見えるが、教学業務以外にも様々な業務が存在する。これらの業務を信頼性・有効性・効率性・経済性・倫理性の視点からリスク対応・業務システムと内部統制機能の組み込み状況等について評価していく必要がある。このための監査視点・監査手法等について調査研究を行い、経営に資する監査手法の確立を目指す必要がある。

2.委員会・分科会

上記機能を発揮させ、大学監査体系としてとりまとめるため、以下の委員会・分科会を設置する。

2-1企画委員会

(1)当協会の事業運営のあり方並びに大学監査機能の基本的考え方の改定等を協議し、その結果を理事会に提示する。

(2)各種委員会の検討内容の方向性について経営ガバナンスにそった調整を行うとともに、各研究会議及び研究会における企画内容についても検討を行う。その際、大学にとって、各種の監査にかかわる基準が何を意味するのかを明確にするとともに、研究成果の体系性を図る。また、大学監査が抱える課題に対応するため、必要に応じて加盟校の実態を調査する。

(3)これまで本協会が数年にわたり策定してきた、監事監査基準、内部統制基準、内部監査基準、教学監査基準並びそれら基準にかかわるマニュアル、チェックリスト等の改定版の見直し並びに整合性を検討するとともに、その普及を促進する。

(4)上記の策定過程において、大学監査のフィロソフィの構築、大学監査の体系化の策定を行うとともに開発した監査技術の普及を図るための体系を整備する。

(5)大学の価値向上・大学の体質改善のためのコンサルティングアプローチの手法等をも取り入れる研究を行う。

(6)法改正に伴う対応について各種検討を行う。

(7)次年度の事業計画案を策定する。

上記計画は、内容により年次計画を作成して進める。以上のことを推進するため、委員会を逐次開催する。

2-2ガバナンス分科会

(1)ガバナンス機能の中で、経営層や組織のリーダーが具備すべき資質として求められるものについての研究を行い、その構成要素を明らかにする。

(2)これまで「大学法人の経営におけるガバナンス」と「設置した大学の運営にかかわるガバナンス」のあるべき姿について、大学監査の立場から検討を加え、それらの定義を明確にするとともに、その指針ともなる大学ガバナンスコードの改定を行った。2020年度は、大学ガバナンスの定義の理解を広げるとともに、大学ガバナンスコードの普及並ぶに大学監査へ活かす方法について研究検討を行うとともに、設置大学における教学ガバナンスについて研究を行う。

(3)監査効率並びに監査品質の向上を目的に、会計監査人・監事・内部監査人が連携する三様監査のあり方、制度上の問題点等について検討する。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-3内部統制分科会

(1)内部統制機能を業務システムへ組み込みことは、大学法人のトップの責任であるが、必ずしもその役割・必要性等が教職員にまで充分に理解されているとはいえない状況にある。これは内部統制とは、教育研究が円滑に行われるよう教育研究を取り巻く業務を全体最適視点で統制することであるという基本の理解が充分ではないことによるものである。そこで、昨年度、私立学校法の改正に併せて内部統制基準の再度の見直しを行ったが、2020年度は、内部統制監査に寄与するチェックリストの見直しを行うとともにそれらの普及を図る。

(2)大学法人が自らの価値を向上させ、社会へ貢献していくためには、大学法人は、大学間並びに社会での自らのポジショニングを的確に把握していくことが、適切な経営意思決定につながる。このため組織に必要不可欠な機能はIR(InstitutionalResearch)機能とリスクマネジメント機能であるが、これらの体制を支えるためのマネジメントシステムには、信頼度の高い内部統制システムの構築が必要であることから、これらシステム構築と監査視点に関する研究を進める。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-4内部監査分科会

(1)大学監査担当者の技術並びに内部監査の有効性向上をめざし、大学の内部監査の枠組みの深化を通して、内部監査人の能力向上のためのプログラム改善・進化を図る。

(2)内部監査は、大学法人及び大学組織の業務をその外側から客観的な視点で確認する行為である。これにより全体最適視点能力が養われることから、キャリアパスの一つとして位置付けることが可能であると考えられる。このため内部監査人に求められる知識・スキルと大学業務におけるキャリアパスの関係について研究する。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

2-6教学監査分科会

(1)2019年度に改定した教学業務体系をさらにブラッシュアップし、サブマネジメントシステムとしての体系化・構造化を進める研究を行う。

(2)上記構造化された教学業務マネジメントシステムを評価するための監査視点の研究に取り組み、2019年度に完成させた教学チェックリストをさらに深化させる。

(3)教学監査のうち内部質保証マネジメントシステムに関する監査については、マネジメントシステム監査の視点からその評価基準等の確立と普及に努める。
以上のことを推進するため、分科会を逐次開催する。

Ⅱ.大学監査手法の実務への適用と研修機能の充実

監事、内部監査人及び会計監査人による三様監査の実効性の向上及び監査実務の普及と向上を目的として、監査課題研究会議をはじめとする以下の諸会議等の活動を企画・立案し、実施するとともに、三様監査に直接関連ある重要な法令並びにその改正状況、行政からの通知、社会の動き等について解説の機会を設ける。
また、分科会等でまとめられた研究成果を公表し、会員等から広くコメントを求める場としても活用する。

  1. 監査課題研究会議
    大学監査機能の中心となるのは、経営部門の意思決定プロセスから学務を含む学校法人業務全般を監査対象とする監事監査機能である。一方、大学設置者である経営層は、法人事務部門並びに設置した大学が適切な活動を行っているかを点検する必要があり、このための内部監査部門の設置、既に設置している組織においては内部監査人の充実が急がれるところである。本研究会議は、各分科会での最新の研究成果を公表・検討する場とするほか、監事・内部監査人を対象に、大学の置かれた現状の把握と監査の質の向上をめざし、その上で監事・内部監査人がそれぞれの職責を果たし、監査の方法論並びに実務上の隘路・問題点等、監査業務に関する必要な知識の修得、会計監査人と監事・内部監査人との連携、多様な監査体験の共有、あわせて監事相互の情報・意見の交流を目的として開催する。
    以上のことを推進するため、年間14回(1月中旬、3月上旬、6月上旬、7月中旬、8月上旬、9月中旬、10月中旬、11月上旬等)の会議を開催する。
  2. 教学監査研究会議
    大学における内部質保証並びに教育研究を取り巻く周辺業務の信頼性向上のため、本研究会議では、教学監査分科会の研究成果に基づき、教学監査の意味と目的を検討し、現在策定している教学業務監査基準並びに内部質保証マネジメントシステムに関する監査の基準並びに手法をさらに発展・深化・普及させるため研究会議を開催する。
    以上のことを推進するため、年間3回(6月上旬、8月上旬、11月下旬)の会議を開催する。
  3. 内部監査研究会議
    本研究会議は、内部監査担当者並びに監事スタッフを対象に、①内部監査担当者に求められる資質の醸成、②内部監査の理論及び手法の体系的教育、③内部監査実務への展開方法、④内部監査人として知っておくべき重要課題の把握等について知識・スキルの高度化を目的に開催する。あわせて、本協会が作成した内部監査基準、チェックリスト等大学の内部監査の枠組みについての普及をめざし、個々の内部監査担当者等の知識・スキルの底上げも図る。このほか、内部監査人に求められる基礎的監査知識と手法を基礎から身につけるためのプログラムの充実を図るとともに、大学のリスク対応能力を向上させ、より健全な大学の実現に向けてマネジメントシステムの評価を核とし、質的に「コンサルティングレビュー」機能を有する内部監査を進めるための役割を果たせる人材の育成をめざし、内部監査・専門知識と監査遂行のための方法論の修得を踏まえた、一定のカリキュラム体系に基づくプログラムを組む。
    以上のことを推進するため、年間8回(3月下旬、5月下旬、7月上旬、9月上旬、11月中旬、12月上旬等)の会議を開催する。
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